- とく
- I
とく(連語)〔接続助詞「て」に動詞「おく(置く)」の付いた「ておく」の転。 上にくる語によっては「どく」となる〕(1)あらかじめその動作をすませておくという意を表す。
「年賀状は早めに書い~・くと楽だ」「資料を読んど・く」
(2)そのままの状態にしておくという意を表す。II「大事にしまっ~・く」「手紙を本の間にはさんど・く」
とく【得】※一※ (名)(1)利益を得ること。 もうけること。 また, その利益。 もうけ。⇔ 損「損して~とれ」「何の~にもならない」(2)手に入れること。 得ること。⇔ 失「自他のために失多く~少なし/徒然 164」(3)〔仏〕 真宗で, 浄土に往生し, 涅槃に入ること。※二※ (形動)有利である・こと(さま)。⇔ 損「そっちを買うほうが~だ」「百円お~な商品です」「憎めない~な性格」~を取るより名を取れ利益を得ることよりも, 名誉を重んじよ。IIIとく【徳】(1)修養によって得た, 自らを高め, 他を感化する精神的能力。「~を積む」「~を養う」
(2)精神的・道徳的にすぐれた品性・人格。「先生の~を慕う」「~の高い人」
(3)身に備わっている能力。 天性。「よく味(アジワイ)を調へ知れる人, 大きなる~とすべし/徒然 122」
(4)めぐみ。 神仏の慈悲。 加護。 おかげ。「~を施す」「神の御~をあはれにめでたしと思ふ/源氏(澪標)」
(5)善政。「師(イクサ)をかへして, ~を敷くにはしかざりき/徒然 171」
(6)富。 財産。 裕福。 財力。「上達部の筋にて, 中らひも物ぎたなき人ならず, ~いかめしうなどあれば/源氏(東屋)」
(7)富を得ること。 利益。 もうけ。 得。「時の受領は世に~有る物といへば/落窪 1」
~とするありがたいと考える。 感謝する。「この恩義を一生~する」
~は孤(コ)ならず必ず隣(トナリ)あり〔論語(里仁)〕徳のある人は孤立することなく, 必ずよき協力者にめぐまれる。~を以(モツ)て怨(ウラ)みに報(ムク)ゆ〔老子〕怨みをもつ者に対して報復せずに, かえって恩徳を施すこと。IVとく【溶く・解く・融く】〔「とく(解)」と同源〕※一※ (動カ五[四])(1)かたまっていた物に液体を加えて液状にする。 とかす。「小麦粉を水で~・く」「粉末を水に~・く」
(2)かきまぜて液状にする。 ほぐす。「卵を~・く」
‖可能‖ とける※二※ (動カ下二)⇒ とけるVとく【着く】〔「つく」の転〕つく。 到着する。 行く。VI「伊知遅島, 美島に~・き/古事記(中)」
とく【解く】※一※ (動カ五[四])(1)結んであるひもなどを, 結んでない状態に戻す。 またそうして, とめられたりまとめられたりしたものを分け離す。「帯を~・く」「梱包を~・く」「二人して結びし紐を…~・かじとぞ思ふ/伊勢 37」
(2)縫い合わせた糸を抜いて, 着物をばらばらにする。「着物を~・いて洗い張りをする」
(3)(多く「梳く」と書く)もつれていた毛にくしを入れて整える。 とかす。「髪を~・く」
(4)身支度を取りはずして平常の服装にする。「旅装を~・く」「今草鞋(ワラジ)を~・いたばかりだ/歌行灯(鏡花)」
(5)命令や禁止令を解除する。 また, 任務・職務から離れさせる。「外出禁止令が~・かれる」「学部長の任を~・く」
(6)拘束された状態を通常の状態にもどす。「城の囲みを~・く」「警戒態勢を~・く」
(7)人の気持ちをほぐす。 気持ちや感情をやわらげる。「神経の緊張を~・く」「警戒心を~・く」「誤解を~・く」「怒りを~・く」「憂を~・く/金色夜叉(紅葉)」
(8)問題の答えを出す。「次の方程式を~・きなさい」「事件の謎を~・く鍵」
〔「解ける」に対する他動詞〕‖可能‖ とける※二※ (動カ下二)⇒ とける
Japanese explanatory dictionaries. 2013.